夏祭りやペットショップで見かけることの多い金魚ですが、適切な飼い方を知らない人が意外と多いですね。水槽が過密状態になっていたり、餌のやり過ぎ、適さない魚との混泳はよくある問題です。
私の個人的な飼育経験とペットショップでの勤務経験を生かして、特に金魚の飼育が初めての方に向けて、基本的な飼い方をご説明します。
初めに選ぶべき金魚の種類
金魚の選び方は、飼いやすさを考慮して決めることが大切です。初心者におすすめの金魚は、丈夫で飼いやすい和金、コメット、朱文金などです。
もっと特徴的な外見の金魚を好むなら、琉金や出目金がおすすめです。これらは見た目が魅力的で一般的な金魚のイメージに合いますが、少し手間がかかることも覚悟してください。
デリケートなピンポンパールは人気がありますが、飼育が難しいため初心者には推奨しません。
どの魚と一緒に飼うべき?
金魚の混泳について解説します。「混泳」とは、異なる種類の魚を同じ水槽で飼うことです。
金魚同士での混泳
金魚同士を混泳させる際には、形状が似ている種類同士を選ぶと良いでしょう。例えば、「鮒形」の和金やコメット、そして「丸形」の琉金や出目金などです。
特に和金と琉金を一緒にすると相性が悪いので、同じ形状の金魚同士を選ぶことが大切です。
他の魚種との混泳
他の魚との混泳は、特に初心者には慎重に行う必要があります。比較的安全で問題が少ないのはどじょうです。どじょうならば、どのタイプの金魚ともうまく混泳できます。また、タナゴも「鮒形」の金魚とは相性が良いことが多いです。
金魚飼育のために必要なアイテムの準備
金魚を飼うために必要なアイテムを揃えましょう。以下が飼育に必要な基本的なアイテムです。
- 水槽
- 水槽スタンド
- フィルター
- 照明
- 水温計
- 底砂
- 餌
- 網
- 水替え用ホース
- 水質調整剤(カルキ抜きなど)
- 必要に応じて水草
- 必要に応じてヒーター
これらのアイテムについて、後ほど詳細を説明します。
水槽の選び方
市場にはライトやフィルターが一体化された便利な水槽キットが多く販売されています。これらは例えばオンラインストア「charm」での購入が便利です。
水槽のサイズは、飼う金魚の数や種類によって異なります。1匹のみなら45cm水槽が適切です。3~4匹を飼う場合、特に大型の種類を飼う場合は60cm水槽が必要ですし、それ以上の匹数であれば90cm以上の水槽を選びましょう。
ただし、市販の金魚セットは初心者向けとしては便利ですが、成長に合わせて水槽が手狭になることが多いです。初めから大きめの「GEX 金魚元気水きれいセットL」などを選ぶと、水質が安定しやすく、取り扱いも簡単です。最初から60cm水槽を用意することはコストパフォーマンスに優れており、後でのトラブルを避けることができます。
金魚鉢は限られた条件下でのみ推奨されるため、一般的な飼育には適していません。水量が少なく、適切なフィルターの設置が難しいためです。
水槽台の選び方
水槽台にはスチールタイプ、木製タイプ、木目タイプがあります。木製タイプは全体が実木で作られており、木目タイプは表面に木目プリントの化粧板が使われていますが、これらは水に弱く長期間の使用には不向きです。
耐久性を考慮した場合、スチールタイプや高価ですが本木製タイプが推奨されます。スチールタイプは価格が手頃であり、木製タイプは高級感がありますが、それぞれのメリットを考えて選ぶことが重要です。
フィルターの選び方
フィルターにはさまざまなタイプがあります。金魚がまだ小さいうちは、「GEX 金魚元気水きれいセットL」に含まれる内部フィルターで充分ですが、水槽を大きくするときは上部フィルターに変更することをおすすめします。上部フィルターはろ過能力が高く、メンテナンスもしやすいです。
底面フィルターもろ過能力が高いのですが、砂利の中を定期的に掃除する必要があります。そのため、手間を省きたい場合は上部フィルターが向いています。
照明の選択
照明に特にこだわりがなければ、どのタイプを選んでも問題ありません。ただし、金魚の鮮やかな色をより際立たせたい場合は、専用のLEDライトを使うと効果的です。
水温計の選び方
水温計は基本的にどのタイプでもその機能を果たします。
底砂の有無
底砂の使用は飼育スタイルによります。底砂を敷かない方が清掃が容易で管理が楽ですが、見た目の美しさと有益なバクテリアの生息環境を考慮すると、底砂を敷くことを推奨します。ただし、水質を変えてしまうサンゴ砂を除き、大磯砂などが一般的に使用されます。細かい砂は掃除時に吸い取られやすいので、使用は避けた方が良いでしょう。
餌の選び方
一般的な熱帯魚用の人工飼料で問題ありません。初心者には、食べ残しが少なくて管理しやすい浮上性の飼料を推奨します。また、栄養バランスを考えて、水草を追加するのも良いでしょう。
金魚を掬うための網
どのタイプの網でも使用できますが、金魚を傷つけにくい細かい網目の網が推奨されます。
水替え用ホース
底砂を使用している場合、砂利の汚れも効率的に吸い取ることができるホースが適しています。私は「水作 プロホース」を使用していますが、選ぶ際は自分の水槽の水深に合ったホースを選ぶことが重要です。
水質調整剤の選び方
水道水にはカルキだけでなく、魚に有害な他の成分も含まれているため、これらを効果的に除去できる水質調整剤の選択が重要です。私は「テトラ パーフェクトウォーター」や「エーハイム 4in1」などを使用しています。これらの製品は広範囲の有害物質を取り除く能力があります。
水草の設置(必要に応じて)
水草は必須ではないものの、水槽のレイアウトを美しく見せる役割と、餌としての機能を持ちます。金魚藻として知られるマツモ、アナカリス、カボンバなどは金魚にとって良い食餌ですが、これらは食べられやすいため、餌として計画的に使用することをお勧めします。もしレイアウトの美しさを重視するなら、葉が硬く丈夫なアヌビアスナナなどが適しています。
ヒーターの使用(必要なら)
通常、ヒーターは必要ありませんが、低温に敏感な種類の金魚、例えばピンポンパールなどにはヒーターが必要です。また、温度変動が激しい場所に水槽を設置する場合は、魚が病気になりやすいため、ヒーターの設置が推奨されます。冬場は魚の活動が低下するため、適切な水温の維持が必要です。特に初心者の方は、飼育を容易にするためにヒーターを用意することをお勧めします。
水槽の適切な設置場所
水槽を設置する際は、まず安定して水平な場所を選びます。電化製品の近く、ベッドのそば、窓際、玄関、畳の上など、避けるべき場所があります。これらの場所は水槽の安全性や魚の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。また、一般の家具ではなく専用の水槽台に設置することが重要です。
水槽の水合わせ
水槽を設置した後、水合わせを行います。これは水槽の水と新しく入れる魚の袋の水温と水質を徐々に調整することで、魚のストレスを軽減します。具体的には、魚の袋を水槽に浮かべて30分待ち、その後、袋の水を少しずつ排出しながら同じ量の水槽の水を加える作業を数回繰り返します。この手順は魚の健康を保つために非常に効果的です。
金魚の日常ケア方法
金魚の日常ケアは、餌やり、水換え、病気への対応の3つが中心です。以下でそれぞれの具体的な方法について解説します。
餌の与え方
どの餌を選ぶか迷うこともあるかと思いますが、一般的な熱帯魚ショップで販売されている人工飼料で十分です。特に初心者の方には、食べ残しが少なく管理がしやすい浮上性の餌をおすすめします。
餌やりの頻度は、水槽を新しく設置してから最初の2週間はろ過バクテリアがまだ安定していないので、餌の量を少なめにします。具体的には1日1回、数分で食べきれる量を与えるのが理想です。
水槽が安定してからは、1日1回の餌やりで通常は十分ですが、成長を促したい場合は1日最大4回まで餌の回数を増やしても良いでしょう。ただし、冬場など水温が低い時は餌の消化が悪くなるので、餌の量を控えめにすることが大切です。
水換えのタイミングと方法
一般的には、週に1回、水槽の水量の約1/3を新しい水に交換することが推奨されます。この際、水槽の底の砂利もプロホースを使って掃除することを忘れないでください。全ての水を交換するとろ過バクテリアが失われてしまうため、完全な水替えは避けるべきです。
病気発生時の対処法
金魚はさまざまな病気にかかりやすいため、早期発見と早期治療が非常に重要です。ですから、日々の観察を怠らないようにしてください。
金魚の繁殖方法
繁殖期の3月から6月にかけて、オスはエラ蓋に白い斑点が現れることで性別が識別できます。また、肛門の形で性別を判断する方法もありますが、これは経験が必要です。繁殖期にはオスがメスを追いかけるようになります。
この時期には卵を産み付けるための水草を水槽に追加し、産卵が確認できたらその水草ごと別の水槽に移し、適切なエアレーションを行います。稚魚が生まれたら、専用の餌を与えて育てます。
まとめ
金魚は手に入れやすいペットですが、繊細で手間がかかることも多いです。この記事を参考に基本的な知識を身につけ、飼育中は常に店員さんに相談しながら、金魚と長く快適に暮らせるように心掛けてください。
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