らんちゅうの養育は、その特異な外観から難しいと感じる人もいるかもしれませんが、「特別な機器が必要?」と考えがちです。ただし、養育のコツを掴むことができれば、必ずしも困難なものではありません。
今回は、効果的ならんちゅうの養育法と、必要な機材について説明します。
どこで入手できる?
小規模な売り場では見つからないこともありますが、大型のペットショップや熱帯魚専門店では一般的に取り扱いがあります。地元に店舗がない場合は、オンラインショップで簡単に購入できます。値段は、特に産地にこだわらなければ一匹約1000円からの価格帯です。
養育は難しいのか
初心者には少し難しいかもしれませんが、養育自体はさほど複雑ではありません。金魚としては中程度の養育難易度ですが、適切な設備と定期的な管理をすれば問題なく育てることが可能です。特別な設備を必要とせず、通常の金魚と同様の環境で養育できます。
寿命はどのくらいか
適切な環境下での養育であれば、5年以上の寿命が期待できます。
成長する大きさは
成長すると大体15~20センチメートルに達し、手のひらに乗る大きさになります。
適切な養育容器は何を使うべきか
「これがベスト」と断言するものはありませんが、個人の好みや観賞する角度によって選ぶべき容器は異なります。一般的にらんちゅうは上から観ると美しく映るため、通常のガラスの水槽よりも上から観察できるタイプの容器が好まれます。しかし最近では、標準的な水槽で養育する方も増えており、その養育方法についても併せて説明します。
上からの観賞を好む場合
らんちゅう愛好家に人気の選択肢として、FRP製の大型水槽があります。これは大きな洗面器のような形状をしており、多くの愛好家が使用しています。しかし、このタイプの水槽は価格が高く、広い飼育スペースを必要とするため、初めてらんちゅうを飼う方には手が出しにくいかもしれません。
それでも上方かららんちゅうを観賞したい場合は、屋外飼育が適しており、トロ舟やタライがおすすめです。トロ舟は浅く、タライはより深い水を保持できるため、面積に応じて選ぶことができます。寒い地域では、トロ舟の浅さが凍結リスクを高める可能性があります。耐久性についてはトロ舟がタライよりも優れており、価格もトロ舟の方が高めです。条件が許すならば、気軽に始めるならタライからのスタートが良いでしょう。睡蓮鉢は水量が非常に少ないため、推奨されません。
横から観賞を望む場合
横から鑑賞を望む方には、一般的なガラス製水槽が推奨されます。60cmの水槽で3~4匹、多くても5匹までが飼育に適しています。浅く設計されたらんちゅう専用水槽も市販されていますが、通常の熱帯魚用水槽の方がより多くの水を保持できるため、こちらの方が推奨されます。
らんちゅう専用水槽は、肉瘤をより発達させるために水深を浅くしていますが、本気で肉瘤を大きくしたい場合はFRP水槽を利用することが望ましいです。しかし、一般的にはより多くの水を保持し、水質が安定しやすい通常の水槽を利用することが推奨されます。
どちらの観賞方法も問題ない方
どちらの観賞方法も問題なく受け入れられる方には、ガラス製水槽が扱いやすく、広く推奨されています。ろ過器の種類も豊富に選べますので、特にこだわりがなければガラス水槽が良い選択肢です。
適切な飼育数は何匹?
らんちゅうも他の金魚同様に食べる量が多く、水を汚す傾向があるため、一般的には15Lの水量に対して1匹が適正です。例えば水量が60Lの場合、理想的な飼育数は約4匹です。ただし、これはあくまで目安であり、飼育の状況に応じて水槽の大きさを調整するなどして対応することが重要です。
屋外での飼育は実現可能か?ヒーターの必要性は
らんちゅうは低温にも比較的耐えることができるため、屋外での越冬飼育も可能です。しかし、浅い水では水温が急激に下がる可能性があり、結果として金魚が凍結するリスクもあります。
屋外飼育の際は、最低でも30センチメートルの水深を確保した水槽やトロ舟、タライを使用することが推奨されます。冬期は特に水温が低下し、餌の調整が難しくなりがちですし、病気になりやすくもなるため、ヒーターを使って水温を一定に保つことを検討すると良いでしょう。水槽サイズに応じたヒーターの出力も異なるため、30cm水槽では80~100ワット、45cm水槽では100~150ワット、60cm水槽では150~200ワットが適切です。具体的なヒーターについては商品説明を参照してください。
ただし、ヒーター使用による飼育環境の安定は、金魚の寿命が短くなることや、自然な季節のサイクルが失われてしまうデメリットも考慮する必要があります。
何を餌として与えるべきか
通常の金魚用の餌で十分ですが、らんちゅう専用の餌として「キョーリン ランチュウベビーゴールド」が推奨されています。これには肉瘤を大きくする効果があるとされていますが、その効果は遺伝に大きく左右されるため、あくまで補助的な手段です。
混泳は可能か
らんちゅうは動きが鈍いため、基本的には同種との混泳が推奨されます。江戸錦など、らんちゅうと形状が似た金魚との混泳であれば問題ありません。
推奨されるフィルターはどれか?
飼育容器によって適したフィルターが異なりますが、一般的には強い水流を避けるために水流を調節できるフィルターが好まれます。
タライやトロ舟では、基本的に投げ込み式フィルターが多く使われますが、これらはろ過力が限られているため、定期的な水換えが必要になります。一方でガラス水槽では、上部フィルターや外部フィルター、底面フィルターなど多様な選択肢があります。
上部フィルターはろ過能力が高く、メンテナンスも比較的容易ですので一般的に推奨されます。外部式や底面フィルターはより高いろ過能力を持ち、見た目もすっきりしますが、メンテナンスがやや煩雑です。初心者には特に、ガラス水槽で上部フィルターの使用がおすすめされます。
水槽のレイアウトはどうすればよいのか
水槽に砂利を敷くかどうかは、単に飼育するためだけなら必須ではありませんが、砂利を敷くと全体的な見栄えが良くなり、らんちゅうの色もより際立ちます。また、底の汚れが舞い上がりにくくなるため、私は砂利を推奨します。初心者は、細かすぎない粒の大きめの砂利を選ぶと管理がしやすいです。専用の金魚砂利も市販されていますので、それを選ぶと良いでしょう。
岩や流木を加えるのも一つの選択ですが、それによって掃除が手間になることもあります。見た目を優先するか、メンテナンスのしやすさを優先するかの選択です。特に流木は水を黄ばませることがあるため、事前にアク抜きされたものを選ぶことをお勧めします。
水草を入れるかどうかも自由ですが、視覚的に魅力的な環境を作るためには水草を入れた方が良いでしょう。ただし、金魚藻として知られるマツモやアナカリス、カボンバは食べられやすいため、消耗品と割り切るか、葉が硬いアヌビアスナナを選んで流木に活着させると良いでしょう。
肉瘤を大きくする方法
肉瘤の大きさは主に遺伝に依存しますが、いくつかの方法で肉瘤の発達を助けることができます。水深を浅く保つことで、水の圧力が減少し、肉瘤が大きくなりやすくなります。また、肉瘤を発達させるための専用飼料を与えることも効果的です。これにはたんぱく質が豊富に含まれており、肉瘤の成長を促します。さらに、広い水槽での飼育が肉瘤を傷つけるリスクを減らします。
よく見られる病気とその対処法
金魚がよく罹る病気として、白点病、尾ぐされ病(カラムナリス症)、松かさ病(エロモナス症)、転覆病があります。白点病には、水槽の1/3から1/2の水を交換後、適切な薬剤を用いた薬浴が有効です。グリーンFリキッドやその他の同様の製品を使用し、水草がなければ0.5%の塩浴も効果的です。
尾ぐされ病(カラムナリス症)
飼育水の半分を新しい水に入れ替えた後、尾ぐされ病に対応した薬剤(例:グリーンFゴールド)を使用します。加えて、塩を水槽に入れて濃度を約0.5%に保つ塩浴も有効です。
松かさ病(エロモナス症)
水槽の水を半分程度交換した後、松かさ病用の治療薬(例:グリーンFゴールド)を投入します。さらに、約0.5%の塩浴も効果を発揮します。この病気は進行すると治療が難しくなるため、早めの発見と対応が重要です。
転覆病
原因や治療法が完全には解明されていない病気ですが、初期段階では餌の量を大幅に減らし、水温を25℃程度に維持しながら、約0.5%の塩浴を行うことで改善する可能性があります。餌の与えすぎが浮き袋に負担をかけることがあるため、与える量には十分注意してください。
らんちゅうを飼育するための必要な道具は?
らんちゅうを飼育したいと思った時に、何を用意すれば良いのか悩む方もいるでしょう。ここでは、基本的にガラス水槽で飼育する場合を想定して、必要な用品をリストアップしました。
必要な用品一覧
- 水槽
- 水槽用スタンド
- フィルター
- 照明器具
- 温度計
- 底砂(砂利)
- 金魚用餌
- 網(アミ)
- 水換え用ホース
- カルキ抜きや水質調整剤
- 必要に応じて:水草、ヒーター
これらのアイテムを揃えれば、らんちゅうの飼育を快適に始められるでしょう。
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